女と同じ心理

可愛くも美人でもないOLの私は、二十八才になっても処女だった。

 

それどころか、デートもキスも、たったの一度も経験したことがない。

 

後輩たちには、絶対に知られてはならない私の秘密。

 

もしも、こんなことが年下の女子社員たちに知られでもしたら、社内中に広まることが目に見えている。

 

だから私は、何度誘われても合コンにはいかなかった。

 

そんな場所で、男慣れしてないことがバレるのが怖かったからだ。

 

専門学校を卒業してからずっと勤めている会社は九年目になる。

 

趣味もない、男もいない私はひたすらお金を貯めた。

 

そして、自分だけの城を手に入れた。

 

小さいけれど、新築のマンション。

 

早く亡くなった両親が残してくれた財産が少ないながらもあったからこそ、都心にマンションなんて買うことができたのだ。

 

このマンションは小型犬や猫なら飼うこともできたが、私は動物が好きではない。

 

植物だって別段好きというわけではなかったが、新築祝いに会社の同僚たちからもらった観葉植物の鉢植えは大切にしている。

 

強過ぎないように、レースのカーテンを引いた窓辺に鉢を移動させてやる。

 

輸入インテリアの店でわざわざ選んで買ったジョウロと霧吹き。

 

こんなに高い買い物をするなんて、自分でも信じられない。

 

自分で使う日用品のほとんどが、百円ショップで購入したものだというのに、観葉植物にだけなぜこんなにお金をかけてしまうのだろう。

 

ペットの犬に毎月何万円も使う女と同じ心理なのだろう。

 

おそらくそうなのだろうと自分で納得する。

 

独立したベッドルームには南向きの大きな窓がある。

 

リビングルームに置いていた観葉植物をベッドルームに移動させたのは、どんな理由からだったのか憶えてない。

 

いつからか、セミダブルベッドの足元にそれを置いていた。

 

その観葉植物の名前を私は知らない。

 

もらったときに聞いたのかもしれないが、憶えてなかった。

 

わざわざ調べようという気もない。